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日本経済新聞社より本日発行された電子版記事に、弊社が掲載されました。
- 以下記事内容(転載)-
市をあげてデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める仙台で設立2年目のIT(情報技術)ベンチャー、ZORSE(ゾース、仙台市)が存在感を高めている。市の人流調査事業を地元企業として唯一受託。デジタル機器を使って顧客の属性を分析することで、街づくりや観光促進などを後押しする。
仙台市の中心部、定禅寺通りで人流をデジタル機器で捕捉する市の実証実験が8月20日から始まる。20~30メートルの間隔で「ビーコン」と呼ばれる電子機器を設置し、歩行者のスマホから得られるデータを収集。人通りの密度や傾向を分析する。5月末には繁華街の国分町・一番町エリアで同様の調査を実施した。
同調査を担うのがゾースだ。5月の調査では、NTTドコモや富士通グループなど有力企業が並ぶ中、地元企業として参加。同社は2月にエリアマーケティングを手掛けるアドインテ(京都市)やWi-Fi(ワイファイ)を手掛けるビジョングループと業務提携し、同社サービスの東北圏での営業権を取得した。
スマホから得られる電波をビーコンで捕捉し、年齢や性別などの情報を匿名で得られるツールで、取得したデータは専用のアプリで手軽に分析できる。調査では同社の機器を活用している。
こうした人流調査はこれまで調査員を派遣し、手入力で集計していた。市の担当者は「人流データを活用し、街づくりや商店街の活性化につなげたい」と取り組みの意義を話す。従来の人流調査に比べ、歩行者の回遊性や経由地などが把握できるため、「改善策を打ち出しやすくなる」と期待をよせる。今後は、調査を継続しデータの蓄積を増やす方針だ。
ゾースは地域のDX推進を事業の柱としている。佐瀬武士社長は「IT化の遅れが目立つ東北で自分が窓口となり、全国の優れたITツールで地元のDX化を進めるのが使命」と話す。既に地元スーパーや小売店が導入し、商品構成や広告の見直しに役立てている。
同社のサービスを観光に生かす動きもある。東松島市で防災教育型宿泊施設「KIBOTCHA(キボッチャ)」を手掛ける貴凜庁(宮城県東松島市)もその1社だ。東松島市は宮城県最大の観光地、松島に隣接し観光需要の掘り起こしが急務だ。東松島で観光のハブとして多くの観光客が立ち寄るキボッチャにビーコンを設置し、観光客の経由地や周遊性といったデータを蓄積する。
貴凜庁の三井紀代子社長は、「実証的なデータが得られることで、地域の課題が明確になる」と話す。周遊データをもとに今後、観光イベントの企画や観光ポイントの発信に役立てる計画だ。
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https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC1227Z0S1A810C2000000/